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2014年2月10日月曜日

妊娠線予防クリーム・ローションの効果はあるのか?

(本文は下に続きます。)

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妊娠線予防クリームがたくさん売られていますが……

(最後に産後の追記を追加しています)

さて。
妊娠しますと、恐らく多くの女性の関心が集まることと思います「妊娠線」
妊娠出産の本を見ますと、様々な妊娠線予防クリームなどの商品がぞろぞろと載っています。

この妊娠線予防クリームって効果あるの? エビデンスは?

というのが今回の話。

「友達は予防していたけど、結局臨月に妊娠線ができたって話だよ」
とか、
「母親はなんの予防もしてなかったらしいけど、妊娠線はできなかったって」

なんて話、耳にしたこともあるのではないでしょうか。

妊娠線とは? 何故出来るのか? 原因は?

まず、妊娠線とはそもそもなにか、と言いますと、簡単に言うと「妊娠して大きくなるお腹に皮膚が伸びる力が追いつかず、ばりっと一部切れてしまった状態」ということになります。
もちろん腹に穴が空く訳ではありません。
皮膚の一番表面の表皮と呼ばれるところは結構広がるのですが、その下の真皮と呼ばれるところの弾性線維のネットワークがやられてしまった状態です。最初は赤く、痒みや痛みを伴うこともありますが、最終的には白い線条として残ります。
お腹だけではなく、乳房やお尻など、急に大きくなる場所にはできる可能性があります。
(ただし、これについては実はあまり詳しい研究はされてない様です。妊娠線の発生機序については1992年に最後の報告があったきりの様子。悩む人は多いのでしょうが、命の危険がないからか、あまり盛んに研究されていないようで……)
妊娠線が出来るか出来ないかの予測は難しく、非妊娠時の体重や、妊娠中の体重増加、出産時のBMI、児の出生体重、これまでの皮膚線条の既往、表皮の水分含有量などなど、いろいろと言われていますが、なかなかこれといった決め手に欠ける状態です。


妊娠線予防クリーム・ローションはどんな効果があるか?

で、基本的に「妊娠線予防クリーム・ローション」といった商品がなにをしているかといいますと、保湿、です。
……えー、例えばコラーゲンを皮膚に塗ったところで、そのままの分子サイズはとても大きいので、皮膚の様々なバリア機能を越えて真皮に届くか、というと、恐らく無理だというような物質は山ほどありまして……で、それぞれの製品の「セールスポイント」を評価するのは、非常に困難ですし、下手すると営業妨害になってしまいそうなので、そこは論点にしません。
なので、これらの「妊娠線予防クリーム・ローション」が確実になにをしているか、というと、表皮の保湿、ということになります。


Midwifery誌2013年8月17日に掲載された京都大学の報告で、ちょっと面白いものがありましたのでご紹介。
こういった製品を使って予防した妊婦さんと予防しなかった妊婦さんを比較したところ、なるほど、表皮の水分含有量は予防していた群で有意に増加していたそうです。
しかし、予防していた群と予防してなかった群での、妊娠線の発生率には差が見られなかったのです。

しかし、面白いのはここから。
予防していた群と予防していなかった群で、感情的なQOL(quality of life、生活の質、人生に幸福を見いだしているか、ということの尺度)を比較してみたそうです。妊娠線ができた群は、できなかった群より感情的なQOLは低く、予防していた群はしていなかった群より感情的なQOLは高かった。更に、予防していた群では妊娠線ができようができまいが、感情的なQOLは維持されていた、というのです。
簡単に言うと、「妊娠線予防クリームで予防をしていた場合、妊娠線ができようができまいがあまり落ち込まずにすんだ」といったところでしょうか。


つまり、私が言いたいのは……
妊娠線予防クリーム・ローションによる保湿では妊娠線は残念ながら予防することは難しいけれど、「ちゃんと予防してたよ」という事実があることが、産後に自分のお腹を見た時に落ち込むか落ち込まないかが決まるので、やっぱりなんらかの予防はしておきましょう、ということです。


ちなみに私……思春期の体重増加の時に、おしりに山ほど妊娠線のようなものができています。なので、体質的に、妊娠線ができやすいのだと思ってます。
今のこのお腹には、まだはっきりとは出てないんですが、最近とても痛いです。皮膚が全く膨らむお腹についていってない感じ。多分、臨月頃にはたっぷりとできそうな予感がしています。
患者さんを診察していると、たっぷりと妊娠線ができている方をよくお見かけします。私は、妊娠線は、お母さんが頑張った勲章だな、と思っています。
自分自身にできることを考えると、予防出来るなら予防したいけど、というところでしょうか。今更、人様に裸を披露する機会もございませんし……

で、一応なに使ってるのかって言うのを紹介しますと、私は高いクリームを買う気は起きなかったので(恐らく出来るだろうという諦めもありまして……)、普段使っているちふれの化粧水と、
by カエレバ
atrixの多分手に使うハンドクリーム的なものと、それよりもうちょい保湿効果の高そうなやつ。
by カエレバ
by カエレバ
無香料タイプのが臭くなくていいです。特につわりの時期から使うつもりならぜひ無香料。
お腹が大きくなって塗る量が増えてからは、ジョンソンのボディローション。安いのにしっかり保湿してくれるので、冬場に腹以外にも活用しました。
by カエレバ

すいません、全然セレブな品を使ってなくて……どれも500円程度です……Amazonとかでなにかを買うついでとかに購入してました……

急激に伸びすぎないようにするのが唯一の予防法とは思いますので、腹帯をがっつり巻いてしまえばいいのかもしれませんが、それはそれで弊害があるのであまりきつくない腹帯 を巻いてます(単純に皮膚が引っ張られて痛いので、それを軽くするためです)。腹帯の是非については、別記事にしています。
by カエレバ
↑これの生成りの色のものを買いました。

あとは、体重コントロールは人並み程度。9ヶ月初めで、+8kg……まあ、非妊娠時を考えると許容範囲くらいです。
これでできたら仕方ないな、と思ってますし、つまりこれが「感情的なQOL」が維持されるってことなのかな、と思います。

是非皆さんも、自分の納得出来る方法で、妊娠線(の予防)とおつきあいしてもらいたいと思います。


産後追記:最終的に+12kgとなりました。上記の方法でケアしてましたが、幸いにも今回の妊娠で妊娠線はまったくできませんでした。感情的なQOLを維持するっていうためだけなら、一般的な保湿剤で十分だったな、と振り返って思っています。
ただ、産後体重は戻ってもお腹はぽってり気味でして……妊娠線はできなくとも、皮膚は無事に引き伸ばされたのね、と実感。もし2回目の妊娠をする事が出来た時には、またしっかり保湿しようっと。

妊娠での妊娠線予防に対する局所用剤 | Cochrane
https://www.cochrane.org/ja/CD000066/ren_shen_denoren_shen_xian_yu_fang_nidui_suruju_suo_yong_ji_