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2017年2月11日土曜日

つわりの原因・治療・日常できる対策と予防法

(2014年2月3日の記事ですが、2017年2月11日加筆修正しました)

つわりについて検索すると、いろいろな種類があると書かれています。
吐きづわり、食べづわり、唾液づわりなどなど……
ただ、実際に医学的には、食べづわりや吐きづわりという分類はしません。
妊娠4〜8週くらいから、安定期に入る12〜16週あたりまで続く、気分が悪くなって吐き気が続いたり、嘔吐したりするものを「つわり」と分類し、更にそれが悪化してひどくなったものを「妊娠悪阻」と分類する、という非常にアバウトな区切りになります。
要するに、医学的に積極的な治療が必要かどうかという分類ですね。

つわりの原因は何か?

さて、このつわりはなぜ起こるのか。
実はこれについてははっきりとした答えは出ていません。
いくつもの要素がからんでいるというのは確かです。
妊娠に伴う体内環境の変化に、母体が追いつかない適応障害の状態になっている、というのがつわりの正体です。

その原因の物質として、急激に増大するhCG(ヒト絨毛ゴナドトロピン)やエストロゲン(卵胞ホルモン)が吐き気を誘発する、エストロゲンが嗅覚を敏感にする、甲状腺ホルモンの変化、ピロリ菌の関与、などなどと正書には書かれています。

一つ説明がしやすいのが、「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の働きによるものです。
妊娠初期は、胎盤を維持するために、卵巣の黄体からプロゲステロンが沢山作られます。
安定期に入れば、胎盤自体が安定し、卵巣からのプロゲステロンに頼らなくてもよくなります。
この、卵巣由来のプロゲステロンが相対的に過剰な状態が、ちょうどつわりの時期と重なります。

プロゲステロンには、もちろん大切な働きは沢山あるのですが、その働きの一部(副作用と言ってもいいかもしれません)に、腸管の蠕動を抑える働きがあります。
腸管の蠕動が抑えられると、当然便秘が起こってきます(逆に、便秘がひどくなると、それを解消しようとするために、プロゲステロン以外の働きによって下痢になる人もいるでしょう)。
食べ物が貯留して、異常に腸管ガスが増えてお腹もはります。
下部の腸管が動かなければ、当然上部の腸管もうまく働きません。胃の中にいつまでも食べ物が滞ったり、通過しにくくなると吐き気がきたり、嘔吐したり、げっぷしたり……ということが、当然起こってくるということになります。
生理前になると便秘になって、生理がはじまると下痢になる……という経験をした方もいるかと思いますが、まさにこの生理前の状態が続いているのが、妊娠初期の状態だと思うとわかりやすいと思います。

ただ、このプロゲステロンだけではつわり全ての説明がつかないことは断言しておきます。
胎盤が完成すると、卵巣の黄体からではなく、胎盤からプロゲステロンが作られるようになり、その量は週数が進むと多くなるからです。(ただし、胎盤由来のプロゲステロンには、黄体由来のプロゲステロンと違い、体温を上げる働きはないようなので、全く同じもの、というわけではないようです。)

他のホルモンとの兼ね合いや、種々の要素がからみあって、あの迷惑なつわりの症状が出ているのは間違いありません。
特にエストロゲン製剤は、非妊娠時に投与すると結構な頻度で嘔気、嘔吐を引き起こしますので、いわゆる吐きづわりの人はこの反応が強く出ているのではないかと考えられます。