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2014年2月28日金曜日

妊娠中、安静時に左側臥位(左を下にして寝る)は絶対に必要なのか

(本文は下に続きます。)

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ウテメリンの副作用にもだいぶ慣れてきました。特に空腹時に飲むとばくばくがくがくしますが(頻脈・動悸と上肢の振せん)、慣れとは恐ろしいもので、なんかもうこのくらいならいいかな、って……まあ、そう思えるくらいには気にならなくなってきました。
前よりも副作用自体が軽くなってるのか、単純な慣れなのかは定かではありません。


まあそうしながら、ひたすら横になって安静にする日々なのですが(と言いつつ、やはりどうしても用事があったりするので外出もしている不良妊婦ですが)、妊婦向けのサイトや本を見ていると「安静時は左を下にして寝ましょう」と書かれているのをよくよく目にします。
これ、根拠はあるんだろうか……?
今回はそんな疑問を医学的に考えてみることにします。

そもそも「立位」と「臥位」ではなにが違うかと考えてみましょう。

我々の住む地球には重力がありますので、立ち上がった状態では当然、脚に血液が集中することになります。
もちろん、重力にそのまま従って血液が脚に流れ込むと、脳をはじめ、他の臓器への血液が不足してぶっ倒れてしまいます。なので、絶妙に脚の血管は収縮して、脚への血流を制限するという機構があります。
ですが、やはり重力の力はとても大きいので、やはり脚への血液は、寝ている時に比べて圧倒的に多いのです。
立ち仕事の多い人、座りっぱなしの仕事の人(この状態も、脚を降ろして仕事するので、立位と似たような状態ですね)で「夕方には脚がぱんぱんにむくむ」というのは、こういった現象で脚から戻りきらない血液(と、そこから組織へしみ出した組織液など)が脚のむくみの原因となっているわけです。

これと比較して、横になって休むとどうなるか。
重力の問題で、脚に不必要な血液を流す必要はなくなりますので、体の中の大切な臓器に沢山の血液が回ることになります。
妊娠中の方を考えますと、子宮への血流が大幅に増えるわけですから、もちろん胎盤への血液も増えることでしょう。


さて、ここで、単純に「横になる」といいましても、体位の問題が出てきます。
まず、「仰臥位」、つまりあおむけ寝の場合。
妊娠の週数が進んでくると、子宮や胎児が大きくなります。
この状態であおむけになると、その大きな子宮が背中側に向かって垂れ下がることになります。
背中側に何があるかと言うと、非常に太い静脈と動脈が走っております。
これを子宮が圧迫すると……まず、動脈よりも圧の低い静脈が押しつぶされます。すると、主に脚側から戻る血液を遮断してしまうので、脚をむくませる原因になったり、下肢の静脈瘤を悪化させる可能性があります。
これだけならよいのですが、この大きな静脈をひどく押しつぶしてしまうと、心臓へ本来戻るべき血液が戻ってこない状態になります。すると、当然心臓から押し出す血液が不足することになり、低血圧を引き起こします。こうなると、「気分が悪い」「顔が真っ青」「脈が速い」「冷や汗が出る」などなどと症状が出てきます。
これを仰臥位低血圧症候群と言います。
この状態になった場合は、さっと左を下にして寝るべきです。更に言うなら、若干うつぶせ気味の左側臥位ですね。こうすることで、主に右側を走る大きな静脈を、大きくなった子宮の圧迫から救いだすことができるからです。

「ん?
じゃあ妊婦さんが安静にするなら、左を下にして寝たらいいっていうのは、医学的に正しいんじゃないの?」

……そこなんです。
確かに、仰臥位低血圧症候群になった場合は、左側臥位は有効です。
しかし、別にそこまでの状況にならないのに、あえて「左だけ」向いて寝る必要を感じません。
例えば右を下にして寝たとしたら、重力の問題で子宮は右側に垂れ下がりますが、静脈を圧迫して押しつぶすほどになるとは思えません。仰臥位低血圧症候群を防ぐなら「仰臥位を避ける事」で十分なはずです。

で、あちこちで見かけるのは「子宮血流が左側臥位だと増加する」という説です。
「解剖学的に血管の走行を考えると、左側臥位になると子宮への血流が増加する」と書かれているのですが……これ、そこまで変化があるとは思えないです。
実際の血流量の変化を、立位と仰臥位、左側臥位で比較したものはあるようなんですが「右側臥位」と「左側臥位」を比較したものは見当たらない。多分、比較した人がいないのではないかと思います。

もう一つは、左を下にした方が、右側にある肝臓を圧迫しないからよい、というのも一つなのかな、と思うのですが……こちらも、特別肝機能が非常に悪くなっているとかでなければ、自分が苦しくないのなら、絶対に避けるべき体位、とも思い難いです。


「まあ、左を下にして寝るのがよろしい、というものを、わざわざ右を下にして寝なくてもいいんじゃない?」
という意見はごもっともです。
ですが、今回私が安静指示をされて思ったこと。
とにかく長期間になります。
そしてただ寝ているというのも体がきつい。
非常にきつい。
更に言うと、私は左を下にすると、特に食後は吐き気が酷いんですね。
胃が子宮に押され、左を下にすることで食道に逆流しやすくなっているからではないかと思うのですが。
それなのに頑なに「左を下にして寝ないといけません!」と言われてしまうと、もうありえない苦痛……!
というわけで、私は普通に右を下にして休むことも多かったことを追記しておきます。
そもそも、寝ている間の寝返りを完全に制御出来る人なんて多分いないですしね。


まあ、本当に非常に危険な状態で入院し「左側臥位で!」と指示を受けているのならば話は別です。あと、仰臥位低血圧症候群を起こした直後も。
そうでない「自宅安静で」と言われた妊婦さんは、「真上を向いた仰臥位は長時間は避ける。あとは楽な体位で横になる」くらいの気持ちでいいのではないか、と私は思います。(腹這いになる腹臥位は、妊婦さんにはそもそもきつい体位なのでしないと思いますが)

そういうわけで、ちょっとマニアックな「安静時の体位」についての話をさせてもらいました。
少しでも快適な「安静」生活をみなさまが遅れますように。
やってみるとわかりますが、「安静」ってきついんですよ、本当……(と、世の中の殿方にお伝えしたい)

今更ですが、抱き枕が欲しくなってきました……ネットで探すかなあ……


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