(2014年2月8日の記事を修正しました)
妊娠中の食事が産まれてくる子どもの食物アレルギーにつながるというのは俗説なのか、医学的根拠があることなのか
妊娠中の食事が原因で赤ちゃんが食物アレルギーになることがあるの……? というのは、ただいま妊娠中の方には非常に気になる事だと思います。
ネット上でも「子供が食物アレルギーになると困るから、◯◯は妊娠中は避けた方がいいですよ。私は一切食べませんでした!」などと書かれているものを見かけます。
かくいう私自身も気になりまして。あれこれ文献をあさりました。
結論としまして、現在は
「明らかな因果関係が証明おらず、妊娠中に妊婦さんが食物除去をしても赤ちゃんの食物アレルギーを防ぐ効果はなさそう」
というのが私の調べた範囲の回答です。
牛乳、卵(特に卵白)、大豆、例えばこういったものを沢山とった妊婦さんから産まれた赤ちゃんと、制限した妊婦さんから産まれた赤ちゃんを比較すると、制限した方がそれぞれのアレルギーが起こりにくかった、という報告も一応あるのはあります。
ただ、データとしては古いというのと、はっきりとがある数値、有意差があるといえる数値であるかと言われると……ない、というのが現在の主流。
一つ例をあげると、AAP(アメリカの小児学会)では
「ピーナッツを妊娠中や授乳中にお母さんが食べると、赤ちゃんのピーナッツアレルギーが増えるから避けましょう」
という見解を2000年に出しました。
しかし、妊婦さんや授乳婦さんたちがピーナッツを食べないように気をつけても、ピーナッツアレルギーは減るどころか増える一方でした。
このため、赤ちゃんにピーナッツアレルギーを起こさないために妊娠中に食事制限をさせるに足るエビデンスがないとして、2008年には撤回しています。
逆に、妊娠中にピーナッツを含むナッツ類を沢山食べたお母さんから産まれた子どもは、ピーナッツアレルギーになりにくいという報告すらあるのです。
2012年の「食物アレルギー診療ガイドライン」でも、妊娠中にアレルギー疾患発症予防のために食物制限を行うことは十分な根拠がないため、特定の食物除去を推奨しておらず、偏食をしないように注意しています。