(本文は下に続きます。)
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Sckoon Organics
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これ。amazonで少し安かったので購入。(公式サイトでもクーポンで500円割引あります)
日本国内で手に入るものは少なく、ディーバカップ(Diva Cup)、ムーンカップ(Mooncup)、スクーンカップ(Sckoon cup)、フルールカップ(fleurcup)フェミーサイクル(FemmyCycle)あたりが比較的有名かと思います。
来月あたり(?)には国産のローズカップも登場するそうな。
今回は紹介する意味もかねて、Amazonや楽天で手に入る(個人輸入をしたりしなくても誰でも気楽に購入できる)スクーンカップをチョイスしました。
さて。
そもそも月経カップとはなんぞや、と言いますと、タンポンのように膣内に挿入し、カップで経血を受け止め、溜まったら引っこ抜いて、血を捨ててまた膣内に入れる、という非常にシンプルな仕組みの生理用品です(このあたりの説明は、実物が手に入ったらまたやります)。
1980年代あたりからアメリカなどで普及しはじめ、欧米ではポピュラーな生理用品、らしい。すいません、どのくらいポピュラーかは知りません。
その利点の一つとして挙げられるのが、今回のテーマ。
「膣内に入れるが、タンポンのようにTSS(トキシックショック症候群)の危険性がない」
という事。
で、これ本当かいな、と。
膣の中に入れて血を溜めるんでしょ?
黄色ブドウ球菌繁殖しないの?
と。
ちょっと疑問に思ったので調べてみました。
結論を先に言うと、「説明書通りに使っていれば安全」でOKです。
詳しい話が気になる人は下をどうぞ。
TSS(トキシックショック症候群)とはなにか
一般向けでわかりやすかったのがユニチャームのページなので私の説明がわかりにくければ参考にどうぞ。http://www.unicharm.co.jp/tampon/tss/index.html
(今回は黄色ブドウ球菌のTSSのみの話をします)
黄色ブドウ球菌が増殖する時に出す毒素が原因となって起こります。
毒素に免疫を持たない人が毒素に接すると起こる可能性があるため、比較的若年者に多いです(年齢があがると免疫を持つ人が増える)。
黄色ブドウ球菌は、おにぎりの食中毒の話の時にもしましたが、誰でも持っている可能性のある常在菌です。鼻腔にもいますが、膣や会陰部にもいます。
膣内に黄色ブドウ球菌がいる女性が、タンポンやペッサリーなどを使用した際、黄色ブドウ球菌が増殖し、毒素を産生。それがなんらかの機序で体内に入る事で引き起こされる、と考えられています。
症状としては、発熱(高熱)、めまいや吐気、筋肉痛などが起こり、激しい下痢を起こし、更に48時間以内に発疹、低血圧などの症状をきたし、回復期には皮がむけます。多臓器不全を起こすのが恐ろしい症候群です。
そもそもタンポンでなぜTSS(トキシックショック症候群)が起きるのか。
これについてはっきりとした答えは出ていないのですが、まず長時間放置すると細菌が増殖しやすい事が一つ。
また、素材によって起こりやすさが違う事も指摘されており、素材の変更で発症数は減っています。
増殖した毒素がどうやって血中にのるか、という話になりますが、経血量に見合わないタンポンを使用すると、周囲の水分を吸いすぎる→膣内が乾燥し、傷つきやすくなる→そこから毒素が侵入、という事が一つ考えられるかと思います。
取扱説明書に書いているように、
- タンポンは連続使用しない(ナプキンと交互に使用)
- 連続使用は8時間まで(就寝時も)
- おりものから異臭がする場合には使用しない
- 月経血量に見合ったタンポンを使用する
といった注意事項を守る事で、ほぼ発症を防ぐ事ができます。タンポンを使用する際には是非ご留意ください
(TSSについて、uptodateに詳しく書かれているようなんですが、私が今会員でないので読めません。ごめんなさい。こちらのページのコメント欄で解説してくださっているのを一部参考にさせていただきました。http://idconference.cocolog-nifty.com/idconference/2011/07/post-c83f.html)
月経カップはTSSの心配はないのか? 本当に安全?
こんな論文があります。
3回使用した時の膣内の細菌叢を検査したが、TSSの原因となる黄色ブドウ球菌のコロニーは認められず。
膣や頸部の上皮の変化も認められなかった(炎症や破壊などが起きていない)。
TSSの原因となる黄色ブドウ球菌の増殖が認められない(+侵入経路となる可能性のある膣上皮の破壊が起きていない)事から、TSSになる危険性はほぼないと考えてよいと思います。
実は月経カップとTSSの関連を指摘したレポートが1つだけある
じゃあ本当に月経カップでTSSは起きないのか、という話になります。実は月経カップによるTSSについては症例報告は1つ見つけました(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4556184/)。
しかしこれは極めてまれと考えてよいと思います(この症例報告でも文末に、月経カップとTSSの関連を指摘した初めてのレポートと記載されています。この症例以外の報告があるかどうかはわかりません)。
この症例報告の患者さんは、挿入時に膣に傷をつけてしまっている事があげられています。
また論文内で「素材のシリコン自体がそもそも細菌増殖に適さないが、月経血をためることで黄色ブドウ球菌増殖の培地となりうる」と指摘。
「高い位置に月経カップを配置する事、月経血量が多い事、膣内の粘膜刺激」を危険因子として考えているようです。
結論
つまり、- 説明書通り正しい位置で使う(あまり高い位置に配置しない)
- 使用時間を守る(12時間)
- 量が多い時は適時捨てる
- 膣に傷がついた時には使用を中止する
- 過去にTSSを起こした人は利用しない
という点を守れば、要するに「取扱説明書通りに使用すれば安全に使える」と考えてよいと思います。
でもやっぱり使い捨てでない事に心配な方もいらっしゃると思います。
しかし、性交時を考えると……特に消毒しませんよね。(もちろん経血の有無と時間的な問題はありますが。)
また、月経カップは、これまでに何十年も、沢山の人が使用してきたものです。
衛生観念が日本より危ういところでも、TSSはほぼ起きていない。
それを考えると「普通の使い方をしていれば、まあ大丈夫なんじゃない?」という身も蓋もない結論が出るかと思います(あれ、論文とか読む必要なかったんじゃあ……)。
参考サイト
http://www.unicharm.co.jp/tampon/tss/index.html
http://www.jhpia.or.jp/standard/tss/img/guide.pdf