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妊娠と旅行についてはあちこちで議論されていますが、今回は「飛行機に乗っても大丈夫か?」という点にのみしぼってお届けしたいと思います。
妊娠中、旅行のためや里帰りのために飛行機に乗らないといけないのだけど、赤ちゃんに悪い影響はないのかしら……とお悩みの方は多いのではないでしょうか。
ネットの質問ページなどを見ても「自己責任で」というような返答を散見します。
自己責任以前の問題として、医学的に問題があるのか、考えてみましょう。
あまりよい資料が見つからないのですが、英国王立産婦人科学会が2013年に出したガイドラインがあります。
難しい話は省略しつつ、説明を加えつつ解説致します。
このことで胎児への影響はあるのでしょうか?
これについては、胎児のヘモグロビン(ヘモグロビンF、HbF)は大人のヘモグロビンと少し特性が違います。簡単に言うと、母親から酸素を受け渡してもらいやすくなっており、この特性のおかげで、影響はほとんどないようです。
ただし、飛行機に乗る乗らないとは関係なく、当然産気づいたり、出血することなどもあります。それは念頭においていてください。
流産の既往などがある人は、フライト前に超音波などで胎児の状態を確認しておいた方がよいと書かれています。
飛行による放射線の影響は、母体や胎児へのリスクがあるとは考えられていません。
長時間フライトを複数回繰り返す場合は、許容量を超える可能性はありますが、かなりの高度を長時間飛ばない限り超えません。160時間とか。
電離放射線を使った持ち物検査用のボディスキャナーは、2分間飛行するより低い線量でありますし、母体を通して胎児に届く線量は母体にほとんど吸収されるので非常に少ないので、心配する事はありません。
といった一般的な予防を心がけましょう。また、妊娠中であれば、薬局で購入できる弾性ストッキングを着用した方がよいでしょう。
一部の地域ではワクチンが必要なところもあるため、安全性の確認は必要になります。主治医の先生に相談してください。
一番の問題は、フライト中に産気づいてしまうことであり、こうなった場合、処置が難しいために大事になる可能性があります。そのため、37週以降のフライトは避けるべきです。
また、多胎など早産の危険が高いと思われる人は、32週以降は避けるべきでしょう。
妊娠経過が順調であれば、飛行機に乗る事を避けろ、というエビデンスはないようです。
ただし、いつどこでなにがあるかはわからないのが妊娠です。
私は、その時に「ああ、飛行機に乗っていなければ……」と後悔するのであれば、乗らない方が賢明だと思います。
そうではなく、何かあった時に「飛行機じゃなくても起こりえたことだからしょうがない」「それでも飛行機に乗るしか選択肢はない」と考える事ができる人が乗るべきだと思います。
ちなみに私は前者でして、結局飛行機どころか、近場への旅行にも行けませんでした(一度だけ、車で行ける県外に観劇に行きましたが)。前回の流産の経験もありますし、とてもなにか起きたときの事を考えると行く事はできませんでした。
今回は「妊娠中に飛行機に乗る事」のみに重点を置きました。
しかし、旅行に行けば、当然旅行の間にどのような事があるかはわかりません。旅先で突然産気づく、出血する……妊娠中はそのリスクが必ずあります。それはどこに行っても同じです。
国外であれば言葉の通じないところで入院し、保険も効かずに出産する事になるかもしれません。
国内であっても、遠方であれば、誰も知らぬ土地での出産、そして新生児を抱えて退院する事になるかもしれません。NICUに入院しなくてはいけないくらいの週数で出産した場合は、そのまま遠方に滞在し続ける可能性も出てきます。
マタ旅といってもてはやされた事もありますが、私は、それらのリスクも知った上で、全ての覚悟と準備を整えて行く必要がある、と思っています。
どうぞ、参考にされてください。
参考サイトなど
Air Travel and Pregnancy (Scientific Impact Paper No. 1)
https://www.rcog.org.uk/globalassets/documents/guidelines/21.5.13sip1airtravel.pdf
妊娠中、旅行のためや里帰りのために飛行機に乗らないといけないのだけど、赤ちゃんに悪い影響はないのかしら……とお悩みの方は多いのではないでしょうか。
ネットの質問ページなどを見ても「自己責任で」というような返答を散見します。
自己責任以前の問題として、医学的に問題があるのか、考えてみましょう。
あまりよい資料が見つからないのですが、英国王立産婦人科学会が2013年に出したガイドラインがあります。
難しい話は省略しつつ、説明を加えつつ解説致します。
気圧の変化で赤ちゃんに影響はないの?
フライトの高度による気圧変化のため、血中の酸素分圧が下がると、ヘモグロビンの酸素飽和度が減少します。このことで胎児への影響はあるのでしょうか?
これについては、胎児のヘモグロビン(ヘモグロビンF、HbF)は大人のヘモグロビンと少し特性が違います。簡単に言うと、母親から酸素を受け渡してもらいやすくなっており、この特性のおかげで、影響はほとんどないようです。
流産や早産の危険とかはないの?
飛行による早産や破水、常位胎盤早期剥離などの悪影響が増えるという証拠はないようです(若干増えるというデータもあるようだが、十分な証拠とは言えない)。ただし、飛行機に乗る乗らないとは関係なく、当然産気づいたり、出血することなどもあります。それは念頭においていてください。
流産の既往などがある人は、フライト前に超音波などで胎児の状態を確認しておいた方がよいと書かれています。
放射線の影響はないの?
飛行による放射線の影響は、母体や胎児へのリスクがあるとは考えられていません。
長時間フライトを複数回繰り返す場合は、許容量を超える可能性はありますが、かなりの高度を長時間飛ばない限り超えません。160時間とか。
電離放射線を使った持ち物検査用のボディスキャナーは、2分間飛行するより低い線量でありますし、母体を通して胎児に届く線量は母体にほとんど吸収されるので非常に少ないので、心配する事はありません。
その他、注意することは?
気圧の変化などでつわりがひどくなる可能性があります。
また、DVT(深部静脈血栓症、いわゆるエコノミークラス症候群)の危険性が増しますので、凝固系に異常がある人や過去にDVTを起こした事がある人、肥満の人などの深部静脈血栓症のリスクが高い人は特に注意が必要です。
4時間以上のフライトでは、危険性が高くなくとも予防につとめるべきです。- 動きやすい通路側の席を選ぶ
- 30分ごとに歩き回ったり、席で運動をする
- 脱水を起こさないように水をよく飲み、カフェインやアルコールは避ける。
といった一般的な予防を心がけましょう。また、妊娠中であれば、薬局で購入できる弾性ストッキングを着用した方がよいでしょう。
一部の地域ではワクチンが必要なところもあるため、安全性の確認は必要になります。主治医の先生に相談してください。
じゃあ、全く心配なく飛行機に乗って大丈夫?
とは言い切れません。一番の問題は、フライト中に産気づいてしまうことであり、こうなった場合、処置が難しいために大事になる可能性があります。そのため、37週以降のフライトは避けるべきです。
また、多胎など早産の危険が高いと思われる人は、32週以降は避けるべきでしょう。
妊娠経過が順調であれば、飛行機に乗る事を避けろ、というエビデンスはないようです。
ただし、いつどこでなにがあるかはわからないのが妊娠です。
私は、その時に「ああ、飛行機に乗っていなければ……」と後悔するのであれば、乗らない方が賢明だと思います。
そうではなく、何かあった時に「飛行機じゃなくても起こりえたことだからしょうがない」「それでも飛行機に乗るしか選択肢はない」と考える事ができる人が乗るべきだと思います。
ちなみに私は前者でして、結局飛行機どころか、近場への旅行にも行けませんでした(一度だけ、車で行ける県外に観劇に行きましたが)。前回の流産の経験もありますし、とてもなにか起きたときの事を考えると行く事はできませんでした。
今回は「妊娠中に飛行機に乗る事」のみに重点を置きました。
しかし、旅行に行けば、当然旅行の間にどのような事があるかはわかりません。旅先で突然産気づく、出血する……妊娠中はそのリスクが必ずあります。それはどこに行っても同じです。
国外であれば言葉の通じないところで入院し、保険も効かずに出産する事になるかもしれません。
国内であっても、遠方であれば、誰も知らぬ土地での出産、そして新生児を抱えて退院する事になるかもしれません。NICUに入院しなくてはいけないくらいの週数で出産した場合は、そのまま遠方に滞在し続ける可能性も出てきます。
マタ旅といってもてはやされた事もありますが、私は、それらのリスクも知った上で、全ての覚悟と準備を整えて行く必要がある、と思っています。
どうぞ、参考にされてください。
参考サイトなど
Air Travel and Pregnancy (Scientific Impact Paper No. 1)
https://www.rcog.org.uk/globalassets/documents/guidelines/21.5.13sip1airtravel.pdf