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2014年10月10日金曜日

イギリスでの妊婦への百日咳ワクチンで乳児の罹患が91%減少した、というニュース

(本文は下に続きます。)

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ニュースというか論文というか報告というか。
2014年7月16日、Lancet誌電子版でGayatri Amirthalingam氏らにより報告されたものです。
イギリスでは2011年に百日咳が流行し、3か月未満の乳児が死亡する例が増加したため、2012年10月から妊婦さん全員への接種プログラムが開始されました。
今回、過去のデータとプログラム開始後のデータを比較して、百日咳ワクチンの有効性がどうであったかの報告がなされています。



で、細かいデータはざっくりと割愛しまして(詳細が気になる方は、Lancet誌電子版に「Effectiveness of maternal pertussis vaccination in England: an observational study」のabstractがありますのでご覧ください)、2012年10月をピークに、百日咳の患者数は減少に転じ、特に罹患率の高い3か月未満の乳児の罹患率が最も減少幅が大きく、2012年、2013年の死亡例はワクチン接種を受けていない母親から産まれた赤ちゃんでした。
実際どのくらい罹患を予防できたか解析したところ、3か月未満の乳児で91%、2か月未満の乳児で90%の有効性であった、とのことです。

インフルエンザワクチンを妊娠中にうっていると、移行抗体の影響で産まれて来た赤ちゃんのインフルエンザ感染の予防効果がある、という話をちらりとしましたが、今回のものは百日咳。
3種混合ワクチンや4種混合ワクチンに含まれていますので、ワクチンが開発される以前と比較すると随分患者数は減少しています。が、このワクチンは終生免疫ではありませんので、免疫がきれた頃にかかることもありますし、もちろんワクチン接種前に感染することも。
論文にもある通り、重症化すれば死亡することもある、今でも決して侮る事のできない病気です。
IDWRによると「母親からの免疫が期待できない」とありますが、今回のイギリスのワクチン接種プログラムでは分娩直前の妊娠28~38週に接種するというものだったので、その影響もあるのかなー、と思いますが、ここのところはちょっと詳しくなくて申し訳ないです。
理論はさておきで申し訳ありませんが、今回の報告により、今後日本でも百日咳の流行が起きた場合や、もしくは世界的に百日咳の流行が増加してきた場合、妊婦さんへの接種の指針となると思います(個人的には、日本でも早く導入して欲しいと思いますが)。

産まれてくる赤ちゃんに元気に育ってほしいというのは、全ての妊婦さんとその家族の希望だと思います。
今後、こうした妊婦さんへのワクチン接種で救える命が増える日がくるかもしれません。