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ネットの海をさまよっていると、知恵袋や掲示板などいろんなところで、病気と薬と妊娠の相談をしている方を見かけます。
「私も○○って病気だったけど、自分で薬やめて、妊娠したよ! 子どもも元気! だから大丈夫だよ!」
というような返信を見かけると、おいおい、ちょっと待ってくれよ! と思わずにはいられません。
世の中には沢山の病気があります。
同じ病名、同じ処方であったとしても、それは決してあなたのことではありません。
例えば私は橋本病(甲状腺機能低下症)です。
「私は橋本病だよ! チラーヂンS飲んでて、妊娠したし、子どもも元気だから大丈夫だよ!」
と断言するのは、正しいけれど間違っています。
なぜでしょうか?
私は橋本病ですが、チラーヂンSという薬を飲み、甲状腺機能を正常な状態+妊娠してもよい値まで調節しました。
その上で、チラーヂンSを飲み、妊娠中は定期的に検査をして、値を見ながら増量し、そして出産に至りました。
ところが、上の文章ではこんな情報は伝わりません。
先ほどの文章を見た人が、
「じゃあ私まだ橋本病の治療始めたばっかりだけど、チラーヂンSを飲んでたら妊娠していいのね!」
と思うかもしれないし、
「私、なんかエステでダイエットの薬? とか言ってチラーヂンSとかって薬もらったんだけど、妊娠には影響ないんだね」
と思うかもしれません。
どちらも間違いです。
上では、治療開始直後では甲状腺機能が正常化されていないので、妊娠維持や胎児への影響を考えて、主治医は「まだ妊娠はちょっと待ってね」というでしょう。
下は論外ですが、健康な人がチラーヂンSを飲めば、甲状腺ホルモンが過剰な状態であり、そもそも危険です。絶対にやめましょう。
このように、ネットで質問したり、その回答を見る事は非常に容易ですが、決してあなたと同じ人は一人としていません。
そして、それを信じて行動を起こしてトラブルが起きても、決して誰も責任をとってくれません。
大切なあなたと、これから育む命を守るためのことです。
見も知らぬ誰かを信用せず(もちろん、これを書いている私の事も疑ってくれて結構ですよ)、きちんと信頼できる人に相談しましょう。
では実際には、その信頼出来る人は誰か。
それは「主治医」と「産婦人科医」です。
この二人がセットでなければいけません。
それでは、持病のある人が妊娠を希望した場合、どうするのが一番スムーズでしょうか。
順番に見て行きましょう。
産婦人科で相談する方が恥ずかしくないから……と思うかもしれませんが、産婦人科に直接行っても、「それまでどんな病歴があって、どんな治療をしてきて、そして今どんな状態で、どんな処方を受けているのか」という情報がなければ、産婦人科ドクターもどうしようもありません。
まずは主治医に相談しましょう。恥ずかしいことではありません。
主治医は
「今の病状で妊娠しても母体や胎児に問題なく出産までいたれるか」
「今の処方で大丈夫かどうか、ダメなら薬を変更することが可能かどうか」
といったことを検討します。
ここで、GOサインが出れば、難関その1は突破です。→「2.次に産婦人科に相談する」へどうぞ
ここでGOサインが出なかった場合はどうするか。
病状が原因で妊娠できない、という結果については、ぜひ主治医と納得するまで話し合ってください。こればかりはどうしようもないこともあることも理解していただけると幸いです。
一つ別の可能性が残されているのは「薬」です。
先生方はそれぞれに勉強されていらっしゃいますが、妊娠や授乳時の薬については少し詳しくない、という先生もいらっしゃいます。
「病気自体は妊娠して構わないけれど、この薬を使ってたら妊娠はできないんだよね」
という場合、セカンドオピニオン目的で
「産婦人科に紹介状を書いてもらって相談する」
もしくは
「妊娠と薬の判断を別の場所でしてもらう」
という方法があります。(これについては「「妊娠と気づかずに薬を飲んでしまった!」時の対処法」の中にある、国立成育医療研究センター(もしくは虎ノ門病院)に相談する方法があります。)
先生の説明では納得出来ない場合含め、多角的な情報を得る意味で利用も検討してください。
また、決して自己判断で薬を中止しないでください。急激な断薬で病状が悪化する可能性があります。
特に精神科系の薬はゆっくりとした減量が必要になるものも少なくありません。
もし薬を止める方向で主治医の先生と決めた場合でも、計画通りにゆっくり減らしましょう。
勝手に急激に減量したり、中断したりといったことで元々の病気を悪化させてしまい、妊娠どころか、ご本人のその後の人生に影を落としたという方もいらっしゃいます。
その間、焦るかもしれませんが、あなたの心と体を大切にしなくては、赤ちゃんも悲しみます。
どうかやってくる命のために、ゆっくりゆっくり、あなたを大切にしてあげてください。
私自身、うつ病でした。
病気は随分よくなり、結婚と妊娠を控えていたため、そのために徐々に薬を減量しました。とにかく時間がかかりました。ゆっくりしていても体調は最悪で、もう薬をやめれないんじゃないかと泣いていた日もあります。
それでも、メインのSSRIであるパキシルも、その他デパスを始めとしたマイナートランキライザーなども、1年ほどかけてようやくやめることができました。(パキシルよりもデパスの方が長くかかりました……)
最後の方は、デパスは1/4錠を1日おき、2日おき、3日おき……とまで減らしていきました。これがスタンダードではないかもしれませんが、最後の1錠をやめるために、私には必要な時間でした。
こんな人間もいます。
どうか諦めないで。
持病に対しての妊娠した際の注意事項などがあれば聞くことができますし、薬の再チェックもできます。
なによりその他の婦人科疾患や感染症のチェックなどをしておくことができます。
例えば子宮筋腫があった、子宮頸癌が見つかった、卵巣に腫瘍が見つかった……ということがあります。
その他、一番受けて欲しい風疹ワクチン(受けたけれど、抗体価が低い場合もあります)の確認、などなどの検査を受けておけば、
「元々の病気は問題なかったのに、まさかこんな病気が他にあったなんて」
という事態を避ける事ができます。
持病がない人以上に、私はその妊娠を大切にして欲しいと思うので、ぜひ事前の受診をお勧めします。
そして妊娠した時に同じ病院にかかることにすれば、カルテがありますので非常に話はスムーズです。
もし里帰り出産するとしても、この作業を行っておけば、後々里帰りの際の紹介がスムーズになります。
葉酸サプリを飲みはじめましょう!
葉酸は妊娠前から十分量を体に入れておく必要があります。これについての説明は
妊娠と葉酸〜葉酸サプリはいつからいつまで飲めばいいの? 飲む量と飲む理由も考えよう〜
こちらをご参考ください。
そして、これらを行う時に、必ず心得てほしいこと。
それは、「自分で結論を決めてから病院受診しないようにしよう」ということです。
なぜかというと、自分で
「病気が悪くても薬を飲んでても絶対に妊娠したい、妊娠する!」
と決めてから病院を受診すると、
「この先生は話を理解してくれない!」
と思い込んでしまい、別の病院、別の先生、他県の病院、あそこの先生なら理解してくれるってネットに書いてた……という風に、無駄な受診を繰り返してしまい、挙げ句の果てに「患者さんの言う事ならなんでもきくとんでもないドクター」に行き当たってしまうかもしれないからです。
結論を決めるのは、まず相談してから。
大丈夫です、子どもが欲しいあなたの気持ち、必ず伝わりますよ。
まずはそこからです。
あなたの幸せな妊娠を期待して。
「私も○○って病気だったけど、自分で薬やめて、妊娠したよ! 子どもも元気! だから大丈夫だよ!」
というような返信を見かけると、おいおい、ちょっと待ってくれよ! と思わずにはいられません。
世の中には沢山の病気があります。
同じ病名、同じ処方であったとしても、それは決してあなたのことではありません。
例えば私は橋本病(甲状腺機能低下症)です。
「私は橋本病だよ! チラーヂンS飲んでて、妊娠したし、子どもも元気だから大丈夫だよ!」
と断言するのは、正しいけれど間違っています。
なぜでしょうか?
私は橋本病ですが、チラーヂンSという薬を飲み、甲状腺機能を正常な状態+妊娠してもよい値まで調節しました。
その上で、チラーヂンSを飲み、妊娠中は定期的に検査をして、値を見ながら増量し、そして出産に至りました。
ところが、上の文章ではこんな情報は伝わりません。
先ほどの文章を見た人が、
「じゃあ私まだ橋本病の治療始めたばっかりだけど、チラーヂンSを飲んでたら妊娠していいのね!」
と思うかもしれないし、
「私、なんかエステでダイエットの薬? とか言ってチラーヂンSとかって薬もらったんだけど、妊娠には影響ないんだね」
と思うかもしれません。
どちらも間違いです。
上では、治療開始直後では甲状腺機能が正常化されていないので、妊娠維持や胎児への影響を考えて、主治医は「まだ妊娠はちょっと待ってね」というでしょう。
下は論外ですが、健康な人がチラーヂンSを飲めば、甲状腺ホルモンが過剰な状態であり、そもそも危険です。絶対にやめましょう。
このように、ネットで質問したり、その回答を見る事は非常に容易ですが、決してあなたと同じ人は一人としていません。
そして、それを信じて行動を起こしてトラブルが起きても、決して誰も責任をとってくれません。
大切なあなたと、これから育む命を守るためのことです。
見も知らぬ誰かを信用せず(もちろん、これを書いている私の事も疑ってくれて結構ですよ)、きちんと信頼できる人に相談しましょう。
では実際には、その信頼出来る人は誰か。
それは「主治医」と「産婦人科医」です。
この二人がセットでなければいけません。
それでは、持病のある人が妊娠を希望した場合、どうするのが一番スムーズでしょうか。
順番に見て行きましょう。
1.まず主治医に相談
これがスタートラインです。産婦人科で相談する方が恥ずかしくないから……と思うかもしれませんが、産婦人科に直接行っても、「それまでどんな病歴があって、どんな治療をしてきて、そして今どんな状態で、どんな処方を受けているのか」という情報がなければ、産婦人科ドクターもどうしようもありません。
まずは主治医に相談しましょう。恥ずかしいことではありません。
主治医は
「今の病状で妊娠しても母体や胎児に問題なく出産までいたれるか」
「今の処方で大丈夫かどうか、ダメなら薬を変更することが可能かどうか」
といったことを検討します。
ここで、GOサインが出れば、難関その1は突破です。→「2.次に産婦人科に相談する」へどうぞ
ここでGOサインが出なかった場合はどうするか。
病状が原因で妊娠できない、という結果については、ぜひ主治医と納得するまで話し合ってください。こればかりはどうしようもないこともあることも理解していただけると幸いです。
一つ別の可能性が残されているのは「薬」です。
先生方はそれぞれに勉強されていらっしゃいますが、妊娠や授乳時の薬については少し詳しくない、という先生もいらっしゃいます。
「病気自体は妊娠して構わないけれど、この薬を使ってたら妊娠はできないんだよね」
という場合、セカンドオピニオン目的で
「産婦人科に紹介状を書いてもらって相談する」
もしくは
「妊娠と薬の判断を別の場所でしてもらう」
という方法があります。(これについては「「妊娠と気づかずに薬を飲んでしまった!」時の対処法」の中にある、国立成育医療研究センター(もしくは虎ノ門病院)に相談する方法があります。)
先生の説明では納得出来ない場合含め、多角的な情報を得る意味で利用も検討してください。
また、決して自己判断で薬を中止しないでください。急激な断薬で病状が悪化する可能性があります。
特に精神科系の薬はゆっくりとした減量が必要になるものも少なくありません。
もし薬を止める方向で主治医の先生と決めた場合でも、計画通りにゆっくり減らしましょう。
勝手に急激に減量したり、中断したりといったことで元々の病気を悪化させてしまい、妊娠どころか、ご本人のその後の人生に影を落としたという方もいらっしゃいます。
その間、焦るかもしれませんが、あなたの心と体を大切にしなくては、赤ちゃんも悲しみます。
どうかやってくる命のために、ゆっくりゆっくり、あなたを大切にしてあげてください。
私自身、うつ病でした。
病気は随分よくなり、結婚と妊娠を控えていたため、そのために徐々に薬を減量しました。とにかく時間がかかりました。ゆっくりしていても体調は最悪で、もう薬をやめれないんじゃないかと泣いていた日もあります。
それでも、メインのSSRIであるパキシルも、その他デパスを始めとしたマイナートランキライザーなども、1年ほどかけてようやくやめることができました。(パキシルよりもデパスの方が長くかかりました……)
最後の方は、デパスは1/4錠を1日おき、2日おき、3日おき……とまで減らしていきました。これがスタンダードではないかもしれませんが、最後の1錠をやめるために、私には必要な時間でした。
こんな人間もいます。
どうか諦めないで。
2.次に産婦人科に相談する
1.の主治医のGOサインが出たら、主治医の先生と相談し、紹介状を書いてもらって、事前に産婦人科を受診しましょう。持病に対しての妊娠した際の注意事項などがあれば聞くことができますし、薬の再チェックもできます。
なによりその他の婦人科疾患や感染症のチェックなどをしておくことができます。
例えば子宮筋腫があった、子宮頸癌が見つかった、卵巣に腫瘍が見つかった……ということがあります。
その他、一番受けて欲しい風疹ワクチン(受けたけれど、抗体価が低い場合もあります)の確認、などなどの検査を受けておけば、
「元々の病気は問題なかったのに、まさかこんな病気が他にあったなんて」
という事態を避ける事ができます。
持病がない人以上に、私はその妊娠を大切にして欲しいと思うので、ぜひ事前の受診をお勧めします。
そして妊娠した時に同じ病院にかかることにすれば、カルテがありますので非常に話はスムーズです。
もし里帰り出産するとしても、この作業を行っておけば、後々里帰りの際の紹介がスムーズになります。
3.葉酸サプリを飲む
そして、1.2.が終了したらしてほしいこと。葉酸サプリを飲みはじめましょう!
葉酸は妊娠前から十分量を体に入れておく必要があります。これについての説明は
妊娠と葉酸〜葉酸サプリはいつからいつまで飲めばいいの? 飲む量と飲む理由も考えよう〜
こちらをご参考ください。
そして、これらを行う時に、必ず心得てほしいこと。
それは、「自分で結論を決めてから病院受診しないようにしよう」ということです。
なぜかというと、自分で
「病気が悪くても薬を飲んでても絶対に妊娠したい、妊娠する!」
と決めてから病院を受診すると、
「この先生は話を理解してくれない!」
と思い込んでしまい、別の病院、別の先生、他県の病院、あそこの先生なら理解してくれるってネットに書いてた……という風に、無駄な受診を繰り返してしまい、挙げ句の果てに「患者さんの言う事ならなんでもきくとんでもないドクター」に行き当たってしまうかもしれないからです。
結論を決めるのは、まず相談してから。
大丈夫です、子どもが欲しいあなたの気持ち、必ず伝わりますよ。
まずはそこからです。
あなたの幸せな妊娠を期待して。