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(2017年7月12日、混乱を招きそうな部分を少し改訂しました。)
妊娠に葉酸、というのはかなり浸透して来て、サプリを使われている方も多いのではないかと思います。
さて、この葉酸サプリ、一体いつから飲んで、いつまで飲まなくてはいけないものなのでしょうか?
ざっくり結論から言いますと、
「妊娠計画したら飲み始め、少なくとも妊娠12週まで飲み続ける」
というのがおおよその目安となります。
さて何故か。
葉酸がそもそも妊娠中になぜ必要かというと、ある種の奇形(無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害)のリスクを減らす、という研究結果があるからです。
一方で、日本では二分脊椎などの神経管閉鎖障害の発生頻度は欧米諸国と比較して1割程度と低めです。そもそもの葉酸摂取量が欧米諸国と比較して多いのかもしれませんし、民族間の遺伝的な差もあるかもしれません。
しかし、1999年のRobertらによる研究(中国での調査)では、葉酸の服用により、発生頻度の高い北部では79%、発生頻度の低い南部では30%の発症率の低減が認められました。
これは日本にもあてはまるだろうと考えられ、2000年には日本でも葉酸の摂取を推奨する指針が厚生省(現在の厚生労働省)から発表されました。
葉酸をどのくらい飲めばいいのか、ということについては、実は確実なデータはありません。様々な研究で、0.4mg(400μg)〜5mgとかなり幅をもって示されています(もっとも、ハイリスクの人も含めてになりますので、そこまでの大量摂取は一般的には必要ないと考えられます)。
たとえばUSPSTF(米国予防医療作業部会)では0.4mg(400μg)〜0.8mgを推奨しています。
発症リスクの低減に有効であった最低限の約0.4mgを満たせばよかろう、という意味合いで、2000年に厚生省は「食事に加えいわゆる栄養補助食品により0.4mg/日の葉酸摂取」という情報を提供しています。
というわけで、1日あたり0.4mg(400μg)を通常の食事に加えてサプリなどで摂取する、ということで問題ないと思います。
ちなみに、何故サプリが薦められるかというと、食事性葉酸は吸収されて体の中で使われる率(生体利用率・バイオアベイラビリティ)が50%と低いからです。そのため、生体利用率のよいサプリ(プテロイルモノグルタミン酸)がすすめられるんですね。
サプリで摂取する量400μgを食事性葉酸に変換すると、800μgです。これを毎日のバランスの良い食事にプラスして、更に食品から摂取するのはとても困難だという想像はつくでしょうか。
葉酸を多く含むほうれん草。2株で126μgです。800μgとるためには、普段の食事に加え、13株ほど食べる必要があります。これを妊娠を考えてから毎日です。
……厳しいですね。
では、本題。いつからいつまで飲むか。
神経管自体の発生や閉鎖、というのは着床して4週以内に起こります。つまり週数で言うと、着床を2週とすると2〜6週にあたります。
この頃というのは、やっと妊娠に気づくか気づかないかの頃になりますね。
さらに、その前から十分量の葉酸が母体内にあることが望ましいと考えられます。
CDCによりますと、「妊娠1ヶ月前から妊娠3ヶ月まで摂取する事を推奨しています(そして、妊娠前から医療機関に相談し、医療従事者はきちんと処方しろというような内容まで書かれています。日本と違って進んでいるなあ……)
日本先天異常学会の声明文では「妊娠を計画する女性、妊娠が考えられる女性は、妊娠前4週から妊娠12週まで葉酸サプリメント 400 マイクログラム = 0.4 mg/日を摂取する」としていますし、厚労省からも同様の通達が出ています。
要するに「妊娠計画したら、その時点から飲んでおきなさい」ということでよいと思います。
それ以降の摂取は、神経管閉鎖障害の予防効果はありません(完成してしまった臓器に働きかけるものではないため)。が、よほどの高用量(一日1mg=1000μgを越えるような)でなければ、飲む事自体に害はありません。
葉酸について、いわゆる「マルチビタミン」の類で摂取することはお勧めしません。
というのも、葉酸400μgを満たす量を、一般向けのマルチビタミンで飲もうと思うと、他のビタミンなどが過剰になる可能性があるからです(妊婦さん向けのものでないと、葉酸はそこまでの量が入っていないため)。
このあたりについては、妊娠中のサプリの使い方にちょろっと書いてますので、よければ参考に。過ぎたるは及ばざるがごとし。
ちなみに私は、結局出産するまで飲み続けました。
というのも、私が主に使ったサプリが鉄剤も含むものでして、妊娠中期以降の鉄分摂取量が足りない事を見越して飲み続けていたら、ついでに一緒に葉酸も摂ることになった、という感じです。
逆に、安定期に入るまでは鉄過剰になりそうだったので、鉄を含まない葉酸サプリも利用しました。
妊活中は飲み続ける、ということになりますので、結構出費も馬鹿にならんなあ……というのが正直な感想です。普段の食事に自信があって、0.4mgの葉酸をを十分に摂取できていれば問題ないのかもしれませんが……
↑私が使った鉄を含まない葉酸サプリ
↑鉄剤入りの葉酸サプリ。1粒で済むのでつわり中は楽(これ、大事)。あと、おいしい。非妊娠時に飲むには、少々鉄が多すぎるのが欠点(元々貧血になりがちの人にはいいかもしれませんが)。
一つだけ強調したいのは、決して「全ての神経管閉鎖障害を予防するわけではない」ということです。
神経管閉鎖障害の原因は、遺伝的、環境的要因が様々にからみあって発生するため、あくまで「リスクの低減」であることだけは頭の片隅においておいてください。
しかし、「飲んでいれば防げた可能性があるのに、飲まなかったから防げなかった……」というのは、母親自身にとっても、胎児にとっても残念なことであるのは確かです。
私自身は、ぜひ、「妊活をはじめたら葉酸摂取」を推奨したいと思います。
参考サイトなど
神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1212/h1228-1_18.html
http://jts.umin.jp/new/JTS_message2016.pdf
http://www.uptodate.com/contents/folic-acid-supplementation-in-pregnancy
https://www.cdc.gov/ncbddd/folicacid/recommendations.html
妊娠に葉酸、というのはかなり浸透して来て、サプリを使われている方も多いのではないかと思います。
さて、この葉酸サプリ、一体いつから飲んで、いつまで飲まなくてはいけないものなのでしょうか?
ざっくり結論から言いますと、
「妊娠計画したら飲み始め、少なくとも妊娠12週まで飲み続ける」
というのがおおよその目安となります。
さて何故か。
妊娠中に葉酸が必要な理由は?
葉酸がそもそも妊娠中になぜ必要かというと、ある種の奇形(無脳症や二分脊椎などの神経管閉鎖障害)のリスクを減らす、という研究結果があるからです。
一方で、日本では二分脊椎などの神経管閉鎖障害の発生頻度は欧米諸国と比較して1割程度と低めです。そもそもの葉酸摂取量が欧米諸国と比較して多いのかもしれませんし、民族間の遺伝的な差もあるかもしれません。
しかし、1999年のRobertらによる研究(中国での調査)では、葉酸の服用により、発生頻度の高い北部では79%、発生頻度の低い南部では30%の発症率の低減が認められました。
これは日本にもあてはまるだろうと考えられ、2000年には日本でも葉酸の摂取を推奨する指針が厚生省(現在の厚生労働省)から発表されました。
葉酸サプリを1日どのくらい飲めばいいのか?
葉酸をどのくらい飲めばいいのか、ということについては、実は確実なデータはありません。様々な研究で、0.4mg(400μg)〜5mgとかなり幅をもって示されています(もっとも、ハイリスクの人も含めてになりますので、そこまでの大量摂取は一般的には必要ないと考えられます)。
たとえばUSPSTF(米国予防医療作業部会)では0.4mg(400μg)〜0.8mgを推奨しています。
発症リスクの低減に有効であった最低限の約0.4mgを満たせばよかろう、という意味合いで、2000年に厚生省は「食事に加えいわゆる栄養補助食品により0.4mg/日の葉酸摂取」という情報を提供しています。
というわけで、1日あたり0.4mg(400μg)を通常の食事に加えてサプリなどで摂取する、ということで問題ないと思います。
ちなみに、何故サプリが薦められるかというと、食事性葉酸は吸収されて体の中で使われる率(生体利用率・バイオアベイラビリティ)が50%と低いからです。そのため、生体利用率のよいサプリ(プテロイルモノグルタミン酸)がすすめられるんですね。
サプリで摂取する量400μgを食事性葉酸に変換すると、800μgです。これを毎日のバランスの良い食事にプラスして、更に食品から摂取するのはとても困難だという想像はつくでしょうか。
葉酸を多く含むほうれん草。2株で126μgです。800μgとるためには、普段の食事に加え、13株ほど食べる必要があります。これを妊娠を考えてから毎日です。
……厳しいですね。
葉酸サプリはいつからいつまで飲むべきか?
では、本題。いつからいつまで飲むか。
神経管自体の発生や閉鎖、というのは着床して4週以内に起こります。つまり週数で言うと、着床を2週とすると2〜6週にあたります。
この頃というのは、やっと妊娠に気づくか気づかないかの頃になりますね。
さらに、その前から十分量の葉酸が母体内にあることが望ましいと考えられます。
CDCによりますと、「妊娠1ヶ月前から妊娠3ヶ月まで摂取する事を推奨しています(そして、妊娠前から医療機関に相談し、医療従事者はきちんと処方しろというような内容まで書かれています。日本と違って進んでいるなあ……)
日本先天異常学会の声明文では「妊娠を計画する女性、妊娠が考えられる女性は、妊娠前4週から妊娠12週まで葉酸サプリメント 400 マイクログラム = 0.4 mg/日を摂取する」としていますし、厚労省からも同様の通達が出ています。
要するに「妊娠計画したら、その時点から飲んでおきなさい」ということでよいと思います。
それ以降の摂取は、神経管閉鎖障害の予防効果はありません(完成してしまった臓器に働きかけるものではないため)。が、よほどの高用量(一日1mg=1000μgを越えるような)でなければ、飲む事自体に害はありません。
葉酸について、いわゆる「マルチビタミン」の類で摂取することはお勧めしません。
というのも、葉酸400μgを満たす量を、一般向けのマルチビタミンで飲もうと思うと、他のビタミンなどが過剰になる可能性があるからです(妊婦さん向けのものでないと、葉酸はそこまでの量が入っていないため)。
このあたりについては、妊娠中のサプリの使い方にちょろっと書いてますので、よければ参考に。過ぎたるは及ばざるがごとし。
ちなみに私は、結局出産するまで飲み続けました。
というのも、私が主に使ったサプリが鉄剤も含むものでして、妊娠中期以降の鉄分摂取量が足りない事を見越して飲み続けていたら、ついでに一緒に葉酸も摂ることになった、という感じです。
逆に、安定期に入るまでは鉄過剰になりそうだったので、鉄を含まない葉酸サプリも利用しました。
妊活中は飲み続ける、ということになりますので、結構出費も馬鹿にならんなあ……というのが正直な感想です。普段の食事に自信があって、0.4mgの葉酸をを十分に摂取できていれば問題ないのかもしれませんが……
アサヒグループ食品 2010-03-01
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ビーンスターク・スノー 2013-09-15
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一つだけ強調したいのは、決して「全ての神経管閉鎖障害を予防するわけではない」ということです。
神経管閉鎖障害の原因は、遺伝的、環境的要因が様々にからみあって発生するため、あくまで「リスクの低減」であることだけは頭の片隅においておいてください。
しかし、「飲んでいれば防げた可能性があるのに、飲まなかったから防げなかった……」というのは、母親自身にとっても、胎児にとっても残念なことであるのは確かです。
私自身は、ぜひ、「妊活をはじめたら葉酸摂取」を推奨したいと思います。
参考サイトなど
神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について
http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1212/h1228-1_18.html
http://jts.umin.jp/new/JTS_message2016.pdf
http://www.uptodate.com/contents/folic-acid-supplementation-in-pregnancy
https://www.cdc.gov/ncbddd/folicacid/recommendations.html