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2016年3月9日水曜日

ぜひ妊娠前に自分と家族に風疹ワクチンを!

(本文は下に続きます。)

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現在ジカ熱のことで騒がれていますが、それよりもまずは身近なところの感染症対策をしましょう! というわけで、一つ風疹の話題を書こうと思います。

2013年に大流行した風疹ですが、最近全くトピックスとしてあがってきません(2013年の妊娠前に書いた記事はこちら「妊娠と風疹 風疹は本当に流行しているのか?」。
幸い流行は過ぎましたが、感染者がいなくなったわけではありません。
NIID(国立感染症研究所)によると、すでに2016年の8週(2月)までに10人の風疹の報告があがってきています。
10人というと少なく感じるかもしれません(ちなみに2013年は一年間で14344人!!)。
しかしこの10人、本当に少ないで済ませてよいのでしょうか。

さて、風疹は1人の感染者がいた場合、免疫を持たない人何人に感染させることができるでしょうか。これは7〜9人と言われています(基本再生産数と言います)。
では毎年流行しているインフルエンザは何人に感染させると思いますか? これは2〜3人とされています。
この数字を見るだけでも、風疹がどれだけ恐ろしい感染力を持っているか、わかっていただけるかと思います。

これに対して、一体周囲の人がどれだけ風疹の免疫を持っていれば、流行を阻止出来るでしょうか(集団免疫率と言います)。これは80〜85%とされています。
つまり、8割以上の人がワクチンを打っていなければ、風疹はインフルエンザの比ではない大流行を引き起こすことになります。


2013年度の調査になりますが、の2006年度からMRワクチンが定期接種対象になったこともあり、小児(2歳以上)の風疹の抗体保有率は90%を越えています。
しかし成人では、女性は高い抗体保有率が認められましたが、30~40代の男性では77〜86%と低い抗体保有率となっています(2014年度の暫定値もグラフで確認しましたが、やはり30代後半から40代男性は変わらず低い抗体保有率となっています)。
つまり、まだ風疹が流行する余地が大いにあるということになります。

恐らく、妊娠出産を意識している女性は、多かれ少なかれ風疹ワクチンの接種(もしくは接種歴の確認)をしていることかと思います。
しかし、未だに男性の意識は低く、「だって流行してないし、大丈夫だろ」という感覚の方が多いのではないでしょうか。
風疹が流行していないのは、沢山の人が頑張って予防接種を行い、集団免疫率をあげているからに過ぎません。一度感染者が増え始めれば、免疫を持たない男性を中心に、また流行が起こることが懸念されます。(ちなみに、2013年の流行は、2011年にアジアで風疹の大流行が起こり、海外で感染して持ち帰った成人男性が、職場等で感染を引き起こしたことがスタートであると予測されます)。
つまり、妊娠、出産を控えた今こそ、是非パートナー、親兄弟に風疹のワクチン接種を薦める時なのです
ちなみに妊娠してからでは、妊婦さん自身は風疹ワクチンを接種することができません。この場合も、周囲の人の協力(周囲が風疹ワクチンを接種し、妊婦さんの周りで感染者を出さない)が非常に大切になってきます。
私自身も妊娠前に抗体価を確認し、低い抗体価だったためMRワクチンを接種しました。過去に2回風疹ワクチンを接種していたのですが……念のためと検査して正解でした。旦那は接種歴があり、検査でも十分量あったため幸いでした(このあたりも2013年の記事に書いています)。

本当は家族だけではありません。
これから生まれてくるすべての赤ちゃんのために、社会全体で取り組むべきことです。
妊娠を契機に、風疹に関心を持つ人が一人でも増えることを望みます。

ちなみに2015年4月29日、WHOは南北アメリカ大陸での風疹及び先天性風疹症候群の世界で初めて排除をしたことを宣言しました。日本も是非、がんばって欲しいと思っています。


NIID(国立感染症研究所)の参考ページ
http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/430-rubella-intro.html
http://www.nih.go.jp/niid/images/epi/yosoku/AnnReport/2013-05.pdf
http://www.nih.go.jp/niid/ja/y-graphs/5583-rubella-yosoku-year2014.html
http://idsc.nih.go.jp/training/20kanri/003.html