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(この記事は過去のデータを元にして作成しており、現在の医療事情と異なっている可能性があります。了承の上、ご覧ください)
以前、私が妊娠中に乳がん検診を受けて、見事にひっかかった話を書きました。
妊娠中に乳がん検診は是非受けましょう! と強くオススメしているわけですが、これには理由があります。
厚生労働省が1975年~2000年に手術を受けたの日本での乳がん患者さんのデータ解析をした結果があります(詳細はhttp://www.jakunen.com/html/tokucho/yogo.html)。
総数146,690症例のうち、妊娠中・授乳中の患者さんは1,781例、約1%います。
この症例を解析し、妊娠・授乳期の患者さんとそれ以外の患者さんを比較すると、妊娠・授乳期の患者さんの生命予後は明らかにその他の患者さんより悪いことが判明しました。
厚生労働省の該当ページの図17を参照してください。(勝手に引用するのはどうかと思いまして……)
元論文が見つからなかったので、詳しい数値がわかりませんが、非妊娠・授乳期の患者さんの5年生存率が90%程度であるのに対し、妊娠・授乳期の患者さんでは70%程度、10年生存率は75%以上なのに対して65%程度であることがわかります。
なぜ生命予後が悪いのか。図18から考えて、妊娠・授乳期の患者さんは非妊娠・授乳期の患者さんと比較して、ステージが進んだ(つまり、より悪い状態になった)がんの割合が高いのです。
これは、妊娠・授乳期のホルモンバランスの影響もあるかもしれませんが、なにより「発見が遅い」のが一番の原因ではないかと思います。
つまり、妊婦さんは、
「赤ちゃんに影響があるといけないから……」
授乳婦さんも、
「放射線浴びたら、おっぱい(母乳)に影響があるかも?」
と考えたり、なにより忙しかったりで乳がん検診を控えてしまう可能性があります。
また妊娠・授乳期は乳腺が大きく変化し、張ったり、母乳が溜まってしこりのように触れたりするため、「まあ、こんなもんか」と見逃してしまう可能性もあります。
これらの事柄が重なって、発見が遅れ、進行した状態で見つかったがんであるからこそ、その後の寿命に影響するのではないでしょうか。
ここで、図21を見ます。
ステージの早い、I期、IIA期では、10年生存率がそれぞれ90%、85%であり、これらは妊娠・授乳期以外の患者さんと大差ありません。
つまり、「妊娠中、授乳中の乳がんであっても、早期発見であれば予後はよい」ということが言えます。
妊娠・授乳期だからこそ、自己検診の励行、乳がん検診の積極的な受診が必要です。
妊娠中の乳がん検診では、赤ちゃんへの影響を考慮して、マンモグラフィという放射線を使った検査は行わず、乳房エコーで様子を見ます。
授乳中は、乳腺が発達しているため、こちらもマンモグラフィでは発見が難しいため、乳房エコーで行うことが多いと思います(授乳の時期にもよりますし、施設によって違います)。マンモグラフィは断乳(卒乳)後、3〜6か月程度時期を置くとよく見えるようになります。ちなみに放射線を浴びることによる母乳への影響はない、と言われています。
自分でしこりを見つけた場合は、「乳がん検診」ではなく「乳腺外科」を標榜している病院へ直接行った方がよいかと思います。施設によって受け入れが違うと思いますので、電話で前もって確認するとスムーズに話が進みます。
幸い、私の胸のしこりは、組織を取って調べた結果「線維腺腫」と呼ばれる良性の腫瘍でして、妊娠中に経過観察していたら、行く度に数が増えましたが(単純に、以前のエコー検査で見落としただけかな、と思いますが)、大きさや性状は変わりませんでした。
「次は、授乳が落ち着いたらいらしてください。授乳も問題なくしてもらって結構ですよ」
と先生のお墨付きをいただきました。
このように、妊娠中でも、局所麻酔を使った組織検査はできます。
とにかく、妊娠中・授乳中の方は、是非「乳がん検診」を受けてください。
あなた一人の身体ではありません。旦那さん、新しい家族、みんなの幸せのために、ぜひ「レッツ・乳がん検診!」
以前、私が妊娠中に乳がん検診を受けて、見事にひっかかった話を書きました。
妊娠中に乳がん検診は是非受けましょう! と強くオススメしているわけですが、これには理由があります。
厚生労働省が1975年~2000年に手術を受けたの日本での乳がん患者さんのデータ解析をした結果があります(詳細はhttp://www.jakunen.com/html/tokucho/yogo.html)。
総数146,690症例のうち、妊娠中・授乳中の患者さんは1,781例、約1%います。
この症例を解析し、妊娠・授乳期の患者さんとそれ以外の患者さんを比較すると、妊娠・授乳期の患者さんの生命予後は明らかにその他の患者さんより悪いことが判明しました。
厚生労働省の該当ページの図17を参照してください。(勝手に引用するのはどうかと思いまして……)
元論文が見つからなかったので、詳しい数値がわかりませんが、非妊娠・授乳期の患者さんの5年生存率が90%程度であるのに対し、妊娠・授乳期の患者さんでは70%程度、10年生存率は75%以上なのに対して65%程度であることがわかります。
なぜ生命予後が悪いのか。図18から考えて、妊娠・授乳期の患者さんは非妊娠・授乳期の患者さんと比較して、ステージが進んだ(つまり、より悪い状態になった)がんの割合が高いのです。
これは、妊娠・授乳期のホルモンバランスの影響もあるかもしれませんが、なにより「発見が遅い」のが一番の原因ではないかと思います。
つまり、妊婦さんは、
「赤ちゃんに影響があるといけないから……」
授乳婦さんも、
「放射線浴びたら、おっぱい(母乳)に影響があるかも?」
と考えたり、なにより忙しかったりで乳がん検診を控えてしまう可能性があります。
また妊娠・授乳期は乳腺が大きく変化し、張ったり、母乳が溜まってしこりのように触れたりするため、「まあ、こんなもんか」と見逃してしまう可能性もあります。
これらの事柄が重なって、発見が遅れ、進行した状態で見つかったがんであるからこそ、その後の寿命に影響するのではないでしょうか。
ここで、図21を見ます。
ステージの早い、I期、IIA期では、10年生存率がそれぞれ90%、85%であり、これらは妊娠・授乳期以外の患者さんと大差ありません。
つまり、「妊娠中、授乳中の乳がんであっても、早期発見であれば予後はよい」ということが言えます。
妊娠・授乳期だからこそ、自己検診の励行、乳がん検診の積極的な受診が必要です。
妊娠中の乳がん検診では、赤ちゃんへの影響を考慮して、マンモグラフィという放射線を使った検査は行わず、乳房エコーで様子を見ます。
授乳中は、乳腺が発達しているため、こちらもマンモグラフィでは発見が難しいため、乳房エコーで行うことが多いと思います(授乳の時期にもよりますし、施設によって違います)。マンモグラフィは断乳(卒乳)後、3〜6か月程度時期を置くとよく見えるようになります。ちなみに放射線を浴びることによる母乳への影響はない、と言われています。
自分でしこりを見つけた場合は、「乳がん検診」ではなく「乳腺外科」を標榜している病院へ直接行った方がよいかと思います。施設によって受け入れが違うと思いますので、電話で前もって確認するとスムーズに話が進みます。
幸い、私の胸のしこりは、組織を取って調べた結果「線維腺腫」と呼ばれる良性の腫瘍でして、妊娠中に経過観察していたら、行く度に数が増えましたが(単純に、以前のエコー検査で見落としただけかな、と思いますが)、大きさや性状は変わりませんでした。
「次は、授乳が落ち着いたらいらしてください。授乳も問題なくしてもらって結構ですよ」
と先生のお墨付きをいただきました。
このように、妊娠中でも、局所麻酔を使った組織検査はできます。
とにかく、妊娠中・授乳中の方は、是非「乳がん検診」を受けてください。
あなた一人の身体ではありません。旦那さん、新しい家族、みんなの幸せのために、ぜひ「レッツ・乳がん検診!」