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2016年9月17日土曜日

妊娠中の麻疹対策〜家族と妊婦さん自身にできること〜

(本文は下に続きます。)

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妊娠中に麻疹に感染すると危険であることは、以前の記事に書きました。
妊娠中に麻疹(はしか)に感染した場合の危険性(流産・早産・合併症)(追記あり・再掲)
それでは実際にできる対策はなにがあるでしょうか。


  • 家族にワクチンをうってもらう
  • 予防接種歴・麻疹既往歴を調べる
  • 麻疹抗体価を検査してもらう
  • 麻疹ウイルスへの暴露を避ける

というのが主な対策になります。

以下に解説を書きます。



家族にワクチンをうってもらう

コクーン戦略(cocoon vaccination strategy)とも言いまして、ワクチンをうてない人の代わりに周囲の人がワクチンをうって感染しないようにし、繭で包むようにワクチンをうてない人を守ろう! という方法です。

特に、現在妊娠中の方及びそのパートナーは、MRワクチン含む麻疹ワクチンの予防接種が1回の世代の方が多いです。
まずはパートナーの方の予防接種歴をチェック。

接種無し、接種歴不明の方 → できればMRワクチンを2回(28日あけて)接種
予防接種歴が1回の人   → 1回MRワクチンを接種

特に後述する、妊婦さん自身の抗体が少ないことが予測される場合、これは急務です。
また、パートナー以外の家族の予防接種歴も調べましょう。
MRワクチンは任意接種で自費になるため、8000円〜12000円程度かかります。施設によって異なります。

予防接種歴・麻疹既往歴を調べる

記憶はあてになりません。ぜひ記録を調べてください。(私は母親の記憶違いで、ワクチン接種していませんでした)、母子手帳を探してください
しかし、これに記載がない場合も多々あります。ない場合は「不明」「うけていない」と考えてください。見つからない場合も同様です。

また、麻疹にかかったかどうかも確認してください。
しかしこれも、確実に病院で診断された場合のみカウントしてください。
似たような発疹を伴う病気(例えば風疹・三日麻疹など)を「はしかにかかった」と誤認していることがよくあります。

「予防接種歴が2回」、「麻疹にかかったことがある」このどちらかがはっきりしていれば、基本的に対策は必要ありません。
ただし、予防接種で確実に抗体価が上昇しているかについては断言できません。どうしても不安な方は、次の項目の「麻疹抗体価」を検査してもらってください。


麻疹抗体価を検査してもらう

自身の予防接種歴がはっきりしない、既往歴もわからない場合、一度かかりつけの産婦人科で構いませんので「麻疹抗体価」の検査をしてもらってください。(妊娠初期に、恐らく風疹の抗体価ははかっているのではないかと思いますが、麻疹をはかっていることはないと思います。一度産婦人科にご確認ください。)
この値を見る事で、抗体があるかないか、また抗体の量が感染を防ぐ十分な量あるかを知る事ができます。
採血だけで検査は済み、数日〜1週間で検査が出ます(通常外注の検査なので時間がかかります)。自費の場合、数千円検査費がかかります(4000円程度ではないかと思います)。
ご家族の抗体価を調べる場合も同様です(産婦人科で対応できないかもしれません、かかりつけなどでご相談ください)。

MRワクチンの不足が懸念されていますので、まずは妊婦さん自身の抗体を調べ、低い場合は家族への接種ができるように手配してもらう形になることも多いかもしれません。


麻疹ウイルスへの暴露を避ける

家族がワクチンをうったとしても、妊婦さん自身に抗体が少ない場合、とにかく麻疹ウイルスに触れないようにする必要があります。

まずは海外を含む流行地への旅行は避けましょう。国内でも現在は一部地域の流行にとどまっています。患者の発生している地域への外出は、極力避けましょう。

流行地に住んでいる方は、できるだけ外出を控えるしか方法がありません。麻疹ウイルスは空気感染を起こすため、正直どこにひそんでいるかわからないからです。
特に人の多く集まる場所は、避けるしかありません。
買い物はネットスーパーやネット注文を利用するのもよいでしょう。仕事をされている方は、職場とも連携をとりましょう(万が一職場で麻疹が発生した場合の対処などを予め相談しておいた方がいいかもしれません)。

麻疹は空気感染なので、普通のマスクは素通りします。
一応N95マスクというもので対策はできますが、装着方法が難しく、また非常に苦しいので、普段使いできるものではありません。基本、マスクでは防げないと思っていた方が無難です。
ただ、どうしても人の多いところに出なくてはいけない場合に、家に一つ置いておくというのも手かもしれません……(おすすめするわけではありませんが)
by カエレバ
こういうものです(これは私が大学病院で勤めていた時に使っていたのと同形のはず)。見た目もかなりごついですし、本当に苦しいので、毎日使えるようなものではないです……。本当に装着が難しいんですよ。
楽天やAmazonをみると、N95マスクではないのにN95と表記しているサージカルマスクなども販売されていますので、買う場合は上記の記事を読むなどして、無駄な出費をしないように気をつけてください。

(ちなみに、感染した人が受診する際は普通のマスクをして受診しましょう。感染拡大の予防には役立ちます。)

以上が今出来る対策になります。
麻疹の流行がおさまることを祈っていますが、まだこれから拡大していくことが懸念されます。
どうか感染することなく、無事に出産にいたりますこと、心からお祈りしております。




その他麻疹の記事については、「麻疹情報まとめ(当ブログ内)」をご覧ください。