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2016年8月4日木曜日

胎児心拍確認後の流産率は本当に低いのか

(本文は下に続きます。)

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ピンク色のおりものが出始めた頃から気になり始めて、調べた内容をご紹介します。

「胎児心拍確認後の流産の確率は5%未満」
といったようなサイトを見かけますが、これは正しくもあり間違ってもいます。
というのも、お腹の上からエコー(超音波)を当てた場合と、膣側からエコーをあてた場合では胎児心拍の見え方が違う、という点を考慮していないからです。

現在、一般的に産婦人科では、経膣でのエコーで心拍確認を行うことがほとんどだと思います。それは、膣側からの方が子宮内の様子が見えやすいからです。お腹の上からですと、どうしても腸のガスが重なってしまったりして見えにくいのですが、膣の方から観察すると、間に邪魔をするものがないのでよく子宮内を見る事ができます。
従って、経膣エコーでは、かなり早い段階で胎のう、胎芽、心拍の確認ができることになります。従って、妊娠6週末までには心拍が確認できます。

しかし、経腹エコー(お腹の上にプローブをあてて見る超音波検査)の場合、膀胱や腸など様々なものを通して子宮内を探すことになるため、そもそも見えにくく、当然ながら心拍の確認ができるのもかなり週数が経ってから、ということになります。それでも妊娠8週までには心拍確認できます。
つまり、ここに2週間もの差がうまれることになります。
妊娠初期の流産を考えた場合、この2週間は大きな2週間となります。


お腹からのエコーをあてた場合、心拍確認後の予後は95〜99%で良好と言われています(おそらく、「心拍確認後の流産の確率は5%未満」というのはここからきていると思います)
しかし、経膣超音波検査での心拍確認後の流産率は16〜36%と、明らかに経腹エコーの確率より高率であると言われています。
従って、「胎児心拍が確認できれば大丈夫」というのは少し古い知識と思っておいた方がよく、特に早くに心拍が確認できても「今は確かに赤ちゃんは元気ですよ」という意味であり、まだ油断はできないと思っておく方が無難であると言えます。


ちなみに、なぜお腹からのエコーのデータがあるかというと、そもそも超音波検査ができるようになったのはここ数十年の話であり、機能や精度、画質などは年々向上しています。うちの親などは、実験的に手に入ったエコーで(胎児の)私を見てもらったことがある、という話をしてくれるほどで、こんなに手軽に超音波検査ができるようになったのは、本当に近年に入ってからのことです。
当然、お腹からのエコーの方が(プローブ、機材などの問題で)先に発達し、それを使った診断が先行しました。そのため、その時の流産の確率などが研究され、そのデータが現在も残っているのですね。


ですので、「心拍が確認できれば大丈夫」というのは、少し前の時代であれば産婦人科の専門の先生の口からも当然聞ける台詞であったと思います。
しかし、現在は違います(もちろん、妊婦さんを安心させるためにそう言う先生もいらっしゃるとは思いますが)。私自身も、「まだ油断はできませんからね。慎重にみていきましょう」という言葉をかけられたことを覚えています。

もちろん、必要以上に心配する必要はありません。心拍が確認出来た今、確かにあなたの身体の中で赤ちゃんは生きています。
赤ちゃんの生命力を信じて、ご自愛ください。


参考文献
http://medicalfinder.jp/doi/abs/10.11477/mf.1409903053
http://www.jikeirad.jp/rad-us/kaisai/QA/35_2.pdf
http://www.matsuyama.jrc.or.jp/rinsyo/news/wp-content/uploads/2013/07/2ba02a8c1464c4be7f31ef8f22fb20cc.pdf