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2014年7月8日火曜日

妊娠中(中期・5か月以降)の抗がん剤治療は子どもに影響しないニュースの話

(本文は下に続きます。)

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妊婦に抗がん剤、子どもに影響なし 乳がん患者を調査(朝日新聞デジタル) - Y!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140708-00000012-asahi-soci

妊娠・授乳期の乳がんの記事を書いた直後にこんなニュースを発見。
私の認識不足で、以前の記事で「妊娠中に乳がんができた場合、抗がん剤治療は出産後」と書いたのですが、国内で実際に治療し、出産に至ったケースが多くはないですがあるようです。
妊娠初期においては、器官形成期であるため、薬剤が投与時には催奇形性が問題となります。薬剤の影響で、様々な器官の元となる部分に異常が生じ、奇形を起こす、という意味です。
これに対して、器官形成期を終えた中期〜後期にかけては、催奇形性は問題にならず、胎児自体に害を及ぼす「胎児毒性」が問題視されます。



抗がん剤治療(化学療法)は、がん細胞を攻撃する薬ではありますが、副作用が種々あることは周知の通り。ですので、胎児に移行すると危険(催奇形性はもちろん、胎児毒性も強いはず)だという認識が一般的な(というか、私はそう思い込んでいた)のですが、器官形成期を越えた中期(5か月)以降に乳癌の抗がん剤治療を行った聖路加国際病院で、障害や異常なく34人の赤ちゃんが無事に誕生したというこのニュース。素晴らしいことと思います。

妊娠中であるが故に、胎児を優先して治療が遅れたり、逆に母体の命を守るために中絶に至るケースが多いと思います。
また、妊娠中のフォローを同時にできる先進的ながん治療の施設が少ない、というのも問題だと思います。
今回の日本乳癌学会の学術総会で発表されることで、「うちの施設でも治療を検討したい」という病院も増えるかもしれません(ただ、症例数が34例なので、慎重な意見も多いと思いますが……)。
母体、赤ちゃん、双方の命がより救われるよう、医学が進歩していることを嬉しく思いますね。