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2014年3月2日日曜日

妊娠中の頭痛と薬

(本文は下に続きます。)

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これは縁がない方には縁がない話と思うのですが、私は非常に困ったので書いておこうと思います。


私は妊娠前からというか、頭痛持ちです。
頭痛にもいくつか種類があるのですが、偏頭痛がメインの頭痛です(いわば混合性)。いわゆる、ズキズキと頭が痛むタイプ。
天気が悪くなる前は最悪でして、もう天気予報できるレベル……
さて子づくりの計画を立てた時に、
「えっ、頭痛薬飲めなくなると困るから、もうちょっと待って」
と思うくらい、頭痛には悩まされてきました。
しかし治る予定のない頭痛のために、妊娠を遅らせるわけにはいかないわけでして……
そして、妊娠したからといって当然頭痛にはならないわけではないわけでして……

そんなわけで、今回は妊娠中と頭痛と薬の話を、主に私の経験談を通して簡単にお話いたします。


頭痛にもいくつかタイプがあります。
その中でも、検査をしても別に脳とかに異常があるわけではないのに、日々よく痛むタイプの頭痛、慢性頭痛と呼ばれるものに悩まされる方は非常に多い。
慢性頭痛でも大きく2つにわけると、「緊張型頭痛(筋緊張性頭痛)」と「片頭痛(偏頭痛)」でお困りの方が多いです。

緊張型頭痛(筋緊張性頭痛)」は、いわゆる「万力でしめつけられるような頭痛」で、後頭部から頭全体にかけて痛むことが多い頭痛になります。
寝ている時や起き抜けは調子いいのに、日中になるとずっと痛む事が多いです。
原因ははっきりしていませんが、頭周囲の筋肉が過緊張になることによって起こっていたり、目の疲れやストレスが引き金となって、痛みの閾値が下がる(ちょっとした刺激で痛いと感じるようになる)ことで起こっているのではないかと推測されます。

これに対して、「片頭痛(偏頭痛)」は、「ずきずきと拍動するような頭痛」です。
前頭部、特に前側の側頭部に多く、片側の時もあれば全体に痛むこともあります。
特徴的なのは、頭痛が起こる前(前兆)がなんとなくわかる方が多いこと。目の前がちかちかしたりします。
また、吐き気等の随伴症状を伴うことも多いです。
これも原因はいろいろ考えられていますが、様々な刺激により頭の血管が異常に拡張し、結果として炎症物質が放出されるので痛む、という説が有力視されています(ただ諸説紛々ですので、一つの説という事で)。

他にもいろいろな頭痛の種類がありますが、ひとまずここでは割愛。


で、本当はそれぞれの頭痛の原因も違うわけですから、治療も違うのですが、今回はざっくりとしたお話をさせていただきます。

妊娠中は薬が使いにくい


そう、妊娠中はどうしても薬が使いにくいのです。
それぞれの頭痛について、様々な研究もなされ、それはもう沢山の頭痛薬があるのですが、使用経験が少ないこともあり、新しい薬は大体使用しないことになっています(実際には、例えば妊娠初期に飲んでいてもあまり問題がないとされているものも多いので、心配であれば産婦人科の先生に相談してくださいね)。
そうなると、一番使いやすいのは、いわゆる「痛み止め」という古くからある薬ということになります。
市販されているものも含め、こちらは誰もが一度は飲んだことがあるのではないでしょうか。

「痛み止め」……一般的な「解熱鎮痛薬」は、NSAIDsと専門用語で言います。
バファリン(アスピリン)やイブ(イブプロフェン)、ロキソニン(ロキソプロフェン)などなど様々な種類があります。湿布薬にも含まれていますね。
これらは、概ね催奇形性については否定的で、妊娠初期などにたまに使うくらいであれば影響はないことがほとんどです。
実際、流産予防などの目的で妊娠初期から中期までアスピリン(バイアスピリンやバファリン)を使った経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。(ちなみに私も使用しました。)
もちろん大量に長期連用となれば話は別ですが、時々の頭痛に通常量使うのは問題ないと考えられています。薬は飲めない! と悩まずに、頭痛で悩んでいる時には主治医の先生にご相談ください。
特に妊娠しているのに気づかずに飲んでしまった……! という方も、あまり焦らずに、なんの薬を飲んだか主治医の先生に確認してみてくださいね。

→お困りの方はこちら「妊娠と気づかずに薬を飲んでしまった!」時の対処法

上記の記事にも書いていますが、国立成育医療研究センターでは、妊娠と薬について個別相談に応じてくれています。
心配な方はこちらの利用もご検討ください。
https://www.ncchd.go.jp/kusuri/



問題は、妊娠後期以降です。

この解熱鎮痛剤の成分は、血管を収縮する作用があります。
お腹の中の赤ちゃんは、子宮の外にいる時と環境が違います。
みなさんは、呼吸をして酸素と二酸化炭素を入れ替えているわけですが、赤ちゃんはへその緒を通じてその交換を行っています。
ですので、体の中の血管もちょっと特殊な状態になっています。
大きく特殊な部分が「動脈管(ボタロ管)」と呼ばれている部分で、これがないと赤ちゃんは苦しい状況になってしまうのです(ちょっとややこしい説明は省略します)。

ところが先ほど説明した通り、解熱鎮痛剤の成分はこの血管を収縮して、閉じてしまうことがあるのです(動脈管が未熟なうちは影響しないのですが、後期以降になって成熟した血管になると、薬に反応してしまうのです)。実際に、死亡例があります。
ですから、後期以降はNSAIDs系の解熱鎮痛剤は使わない、というのが原則です。
「妊娠初期に頭痛で先生にもらった薬だから、今も飲んで大丈夫だよね」
と過信せず、妊娠後期に入ってからの解熱鎮痛剤には特に注意してほしいと思います。

唯一使えるのが「アセトアミノフェン」と呼ばれる薬です。処方されるならカロナールなどの商品名でしょう。

by カエレバ
市販薬としてはタイレノールAが有名かな。

これは、鎮痛剤としては若干弱い部類なのですが、血管を収縮させる作用は弱いとされています。
基本的にアセトアミノフェンについては、妊娠中も使用できると考えてOKです。
頭痛持ちの方は、是非主治医の先生におっしゃってください。頭痛については保険診療ができますので、妊娠中でも保険適応で処方されます(市販薬を買うより安く手に入ると思います)。

(ただ、最近100%起こさないとは言い切れないという報告があり、少し薬の説明書にも変更が加えられました。
……が、私もその報告を読んだのですが、ないとは言い切れないけど、本当に関係あるのかな、という報告でして……2例ほどの報告なのですが、問題があるようには思い難かったです。
なにより、これまでに「妊婦さんでも使える」(更に言うなら「赤ちゃんにも使える」)として長く、そして多く使われてきた薬です。
ネットを散策すると、「アセトアミノフェンも使えない!」と声を大にしておっしゃる先生もいるようなので強くは言えませんが、私個人としては、よほどの乱用をするのでなければ問題ない、と思っています。
心配であれば、主治医の先生と相談してくださいね。)

私の妊娠中の頭痛と薬の体験談

で、私がどうやって頭痛とつきあったか。(予防法についてはこちらをどうぞ「妊娠中の頭痛と予防法」)

妊娠中は幸い、頭痛は少なかったです。
片頭痛は女性ホルモンの影響が大きいと言われていまして、それゆえ初潮後に起こす女性が多いわけで、私もその例に漏れません。
で、妊娠中は特殊なホルモンバランス故に、片頭痛が寛解する人が多いという報告があるようです。
ただ、少ないとは言え、やはり痛みだすとかなり辛い事に……

(医学的根拠のあるものじゃないので、読み飛ばしてもらって結構です)
で、これは同業の医者に話したら笑われそうなので、民間療法くらいに思ってほしいのですが、「こめかみに湿布」を貼りました。
指でこめかみを触ると動脈の拍動を触れます。結局、血管の異常拡張が原因なので、拍動性の頭痛の人は、この動脈を指でぐっと押さえると、痛みが治まることがあります。よかったら試してください。
で、ずっと押さえてればいいんですが、そうすると手が動かせない。米粒でも貼ろうかと思いましたが……要するに、ここでの炎症性の物質の放出を止めれば、痛みに繋がらないはず……!
という理論のもと(追記:今読みなおすとよくわからん理論ですね)、1〜2cm四方くらいに切ったロキソニンパップという湿布を、その拍動する部分に貼ったのです。
結果、結構頭痛は治まりました。いやあやってみるもんですね。真面目に研究して論文でも出したら面白いと思うのですが。
実際には湿布にも解熱鎮痛剤の成分が含まれ、湿布ではることで経皮吸収血中濃度は高まります。しかし、全身に回る濃度としては、飲む量と比較して非常に低い濃度です。問題視するレベルではないでしょう。
で、この「こめかみに湿布療法」で凌ぐ事、数度。

それでも治まらない頭痛(あと、さすがに見た目があれなので、仕事中は貼るわけにいかなかった)の時は、妊娠初期から中期にかけては、頭痛の程度に合わせてロキソニンもしくはカロナールを使いました。それぞれ1、2回だったかな……
妊娠後期に入ってからは、カロナールを1度使いました。今のところ、赤ちゃんに影響はなさそうです。
なんとかこのまま、出産までしのぎたいところです。
(追記:やや切迫早産ぎみになりかけた以外、特に問題ない妊娠経過、出産、及び出生後も大きな異常なく育っています。今振り返ると、意外と少ない回数の頭痛薬内服でしのいだな……と思います)


慢性の頭痛にしろ、腰痛などにしろ、痛みというのは非常にストレスになります。
個人的には、酷い痛みを我慢する事によって、その母体のストレスを受けることになる赤ちゃんに負担をかけるくらいであれば、上手に薬を使ってそれを解消してあげることは、母子ともに幸せなことではないか、と思うのです。
もちろん、薬を飲めと推奨しているわけではありません。
ですが、人類の苦しみを減らすために、様々な研究がなされ、そしてその知識の結晶としてできた薬があるのに、それを真っ向から否定することは、まるでそれまでの人々の努力を否定するようなものではないかと思うのです。
原始時代にはできなかったけれど、今だからこそ使えるものがある。
そうやって、上手にみなさんも薬を使ってほしいなあ、と思います。


予防法の中では、私自身は「1日1杯コーヒー」が一番よかったと思っています。
妊娠中の頭痛と予防法」で詳しく書いていますので、よろしければ参考に。

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